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高尾さん一家とヤモリの棲む路地を観察しはじめてからもう5年が経った。 早いものだなあと酒井哲クンが描いたイラストを眺めていたら、フツフツといろんなことが思い起こされてくる。 この5年をひと口にはなかなか言えないけれど、いい路地といい家といい家族に縁あってめぐりあえた。そこで設計の仕事までまかせていただいた。 生きていく上でいろいろ考えさせられることも多く、幸せな出会いだったとつくづく思う。 お父さん夫婦の家は大正時代の古い家。この家に僕は一切手を触れていない。手を入れる必要がないほど見事な住まい方なのである。 三つの家のなかでいちばんしみじみする。憧れすら抱いてしまう。人のすみかとはこうあるべきだと・・・。 南側にある高尾洋さんのアトリエは伯父にあたる斉藤さんが住んでいた家で、やはり大正時代のボロ屋だった。このボロ屋を大改造、 佐藤棟梁をはじめ職人のみなさんががんばってくれて保存再生に成功した。この顛末については 僕のホームページで詳しく紹介している。 小さな家だったがこの家の改修に立ちあえたことは僕にとって大きなことだった。 「この家は絶対に壊したくない」と言ってふんばっていた高尾洋さんの姿が今でも印象に残っている。 絶対に壊してはいけないものを誰もが持っているのではないだろうか。 1997年に新築した家は2階建てでロフト付き。この新しい家の建設に関しては、高尾さんも僕もかなりの葛藤があった。 そこには再生したボロ屋に輪をかけた古い家(高尾さん家族が住んでいた)があって、これを壊してしまうことが忍びがたかったからである。 家を残すことにも、つくることにもさまざまな「想い」が行き交う。 |